第27章 倣
最終的に、夕飯のメニューはハンバーグに決まった。
味付けは、和風で。
簡単茶碗蒸し付き。
味噌汁の具は、神楽の好みをチョイス。
唐揚げは、次回に繰り越し。
必要な材料を書いたメモを渡されて。
がま口の財布を受け取る。
「いってらっしゃい」
朱里ちゃんを残して、家を出る。
階段を下りながら、こういうのも有りだと。
束の間の日常に加えて。
「新八、米担ぐの担当な」
階段下の新八に声を投げて、笑う。
文句は聞かずに、歩き出す。
最後の晩餐。
最後じゃ聞こえが悪いけど。
離れたくないと駄々をこねるよりも。
ここに戻ってくるはずの朱里ちゃんを。
ここが好きだと言ってくれた朱里ちゃんを。
笑って見送ってやりてェから。
いつもと同じ、万事屋を。
前と何ら変わりない、俺たちと。
一緒に過ごして貰いてェんだ。
食事の時間は、いつでも戦いだってこと。
こうなる前と同じって。
きっと笑うだろうけど。
俺も、神楽も、新八も、定春も。
暴言吐きながらも、結構、楽しんでるから。
今日は朱里ちゃんの手料理の争奪戦。
盛大に繰り広げるから、乞うご期待。
買い物から帰ったら、いつもの顔で。
おかえりって、自分家みたいに。
言ってもらえるのはいいな。
次に朱里ちゃん帰ってくるときは。
おかえりって、迎えるから。
いってきます、ばっかりじゃ味気ねェだろ?