第27章 倣
スーパーの袋を両手に持って。
米を抱えた新八と歩く。
朱里ちゃんと歩いた道程なのに。
昨日とは違う景色に見える。
「新八、泊まってく?」
「当然です」
当然って何?
まだ如何わしいこと考えてんの?
「明日から任務ですよね、朱里さん」
「ああ」
「朝ひとりじゃ、銀さん寂しいでしょ?」
「…………は?」
「だから、泊まります」
「…………寂しくねーよ」
「はいはい」
「……過保護だねェ」
立ち止まって、米を抱え直す新八を振り返る。
「だって僕ら、万事屋ですから」
得意気に笑う顔と視線が合った。
最初から、泊まっていくよう伝えるつもりだったけど。
俺が万事屋として、朱里ちゃんを見送ってやりてェと思ってる続きに。
俺を気遣う、お前らの気持ちが含まれてるなんて。
どっちがガキだか判んねェな、本当。
「ま、新八はジャンケン弱ェし」
「今日は負けませんよ」
「イヤ、今日はジャンケンいらなくね?」
「いります」
「…お前は優しいの?邪魔したいの?どっち?」
俺の言葉に、楽しそうに笑ってから。
「どっちもです」
そう言った新八は、俺を追い越して歩き出す。
三人と一匹で、万事屋。
それは以前と、何ら変わりなくて。
俺が救われたように、朱里ちゃんも救いたいと。
俺と似た思考で、今を見てる。
「意地が悪くなったね、新八くん」
俺の呟きに、新八はもう一度笑った。