第25章 傍
帯とベルトを解いて。
着物を脱ぐ。
懐から、ぽとりと落ちたモノに。
釘付けの朱里ちゃん。
「………」
慌てることなく拾い上げた、俺の指先を凝視。
パッケージ可愛いから、欲しくなっちゃた?
「いる?」
人指し指と中指で。
ピンクの小さいビニール袋を挟む。
「サービス品だから貰ってきた」
目を細めた俺を見て、瞬きして。
クスクスと笑った。
「いちごの匂い?」
袋の裏見て頷けば、楽しそうに。
「さっきのは、葡萄?」
そう言って、また笑う。
正直、ゴムの臭いがキツくて。
葡萄の香料、ほんの少し、香った程度だけど。
「ご名答」
部屋の照明に合わせた、パッケージの色。
ジョークなんだか、洒落てんだか。
つーか、中身の色まで同じって。
悪趣味なんだか、凝ってるんだか。
今時っつーのは、おっさんには解んねェけど。
朱里ちゃんが気に入ったなら。
次は、こういうの用意しとくわ。
「味は、しないと思うよ?」
感度も大事だけど、遊び心も大事。
朱里ちゃんのためなら。
そういうの、探してみるのも、アリかもな。
「今度、試してみる?」
「楽しみです」
純情なんだか、肝が据わってるんだか。
味を試すって、そういうことだよ?
そういうの、まだ早くね?
舐めたら、口の中が。
いちご味じゃなくて。
ゴムの味になっちゃうって。
教えてやった方が、いいのかね?
色事に関しては、まだまだ手解きが必要か。