第23章 望
ネオン街を抜けて、ラブホ通りを一周。
昼とは違う、淫靡な世界。
「こんなに、明るいなんて……」
「電力の無駄遣いだろ?」
「そうですね」
西洋の城みたいな建物を見上げながら。
朱里ちゃんは、目をキラキラさせた。
お城じゃないからね、それ。
そういう営みするための場所だからね。
興味津々だけど、入らないからね。
「中もキラキラですか?」
「さあな」
「あっちは?」
「知らね」
「気になります」
「気になっても我慢しなさい。そんなん駄目だよ?他の男に言っちゃ駄目だからな」
拗ねたように、頬膨らまして。
どんなに説いて伏せても、無防備なんだから。
「相手が銀さんだからいいのであって、男はみんなオオカミだって、教えたでしょーが」
「相手が坂田さんだから、言ってるんです」
「銀さんも男の子なの」
道行くカップルが、俺たちを横目に見ながら過ぎて行く。
痴話喧嘩に見えんの、コレ?
エッチするかしないかで、揉めてるバカップルみたいに見えてんの、コレ?
恥ずかしいだろーがァァァ!
どうすんの、コレ。
どうすれば諦めるの、この娘。
「それとも……朱里ちゃんは、中が見たいってこと口実に、銀さんを誘ってんの?」
俺の言葉を脳内で反芻する程度の間を置いて。
みるみる顔を紅くする。
「でも、備え付けのアレだと足りないから、ここですると満足できねェと思うけど?」
ベッドの脇にサービスされた数じゃ。
朱里ちゃんのお強請りに対応できない。
追加購入すればいいって。
そりゃ、簡単な話だけど。
「どうしてもって言うなら、入ってみる?」