第22章 誘
「お風呂は、あとで」
俺の臭いを感じたいと。
マニアックなプレイ紛いの台詞を吐いて。
縺れるように、倒れ込んだ布団の上で。
試すように唇を重ねる。
身体を跨いで、見下ろされて。
羞じらう様も、そそるけど。
スイッチ入ると、別人みたいに大胆で。
俺の思考を掻き乱す。
「ちょ、マジで、駄目だって。そんな煽っちゃ、止まらなくなるって」
肘で支えた上半身を仰け反らせて。
身長差で、僅かな距離を置く。
潤んだ目から、外せない視線を追えば。
俺の首筋に、軽く歯を立てた。
鼻じゃなくて、今度は首か。
甘噛みだから、痛くはねェが。
どうせなら、痕が残るくらいに。
遠慮なしにやってくれていいけど?
苦痛と快感は、隣り合わせらしいから。
女に上から攻められて悦ぶなんて。
以前の俺なら、考えられねェけど。
「好きにしろ。朱里ちゃんになら、いいわ」
イヤ、マグロな銀さんでいいなら、だけど。
いいなら、好きにして。
寧ろ、抱いてください。
俺、覚悟決めたから。
胸を軽く押さえ付けてた重みが消える。
見下ろしてた視線が和らぐ。
みるみる顔を赤らめて、顔を背けた。
「ごめん、なさい」
え、何?
終わり?
男、坂田銀時の決意。
無駄になっちゃった?