第21章 煩
約束の甘味を食べて。
バイクに跨がる。
手を繋いでブラブラも捨てがたいが。
今日は、敢えての移動手段。
股下気にしてた格好もいいけど。
バイク乗るからと、着替えさせた。
「銀さん安全運転だから、大丈夫」
ニケツを断るお巡りさんを安心させて。
乗れと促せば。
後ろから腰を抱く腕に、こっちが慌てる。
「んな力入れなくても、落ちねェから」
新八とは違う力加減。
腕の細さ。
背中に当たる、胸。
「パフェ、美味かったな」
信号待ちで振り向けば、背中に額をコツンとぶつけて。
「どっちも、美味しかったですね」
少しくぐもった声が聞こえた。
チョコレートもストロベリーも。
とびきり甘かった。
「また、行きましょう?」
「そーだな」
明後日には江戸を離れる朱里ちゃん。
『任務に行きたくない』と打ち明けて。
『ギリギリまで傍に居ろ』と言った。
『また』が、いつか。
それは、俺にも朱里ちゃんにも、判らねェ。
それでも、口約束をして。
次に漕ぎ着けて。
帰る場所があることを教える。
「……今日も一緒に寝る?」
腰に回った腕に力が籠る。
たぶん、それが返事。
俺はその腕を軽く叩いて。
信号が青くなると同時に、バイクを発進させた。
そうやって甘えてくれて、いいからね。
とことん甘やかして。
ずっと大事にする覚悟。
昨日の夜に、固まったから。