第21章 煩
運良く陽射しに恵まれた、その日は。
布団と、汚れたシーツやらも、干して。
まだ眠そうな朱里ちゃんに、声を掛けて。
起床後、一刻程度だというのに。
また、昼寝をする。
自然な形で、身を寄せて。
あんだけ抱き合った部屋で、眠る。
どこかに出掛けるのもいいけど。
「ココが好き。だって、坂田さんがいる」
お気に入りの場所に座って言ってたから。
その言葉に甘んじて、万事屋で過ごすことにした。
夕飯はオムライスって約束してるから。
買い物に行く必要もねェし。
掃除と洗濯以外、急ぎで片付ける物もない。
仕事の依頼が無いことが、汚点ではあるけれど。
今日は一緒に過ごしたいから。
無くて好都合と捉える。
「甘味を食べに、行きませんか?」
目を覚ましてからの、粋な誘い。
その言葉に、俺が弱いと知ってて言うんだから。
「約束、憶えてますか?」
「勿論です………あのときは、酷ェ話だと思ったわ」
あの、一方通行な手紙。
別れの言葉も言わせてくれねェのに。
逢うための口実作って。
彼氏も一緒にチョコレートパフェ食わせるつもりかって。
色々腹が立った記憶、あるわ。
男ができたと、嘘を吐かせたこと。
それが心残りだったのは、つい最近の話。