第21章 煩
「明日、新八と神楽が来るから」
それまでは、誰の目も気にせず。
二人で過ごそうと提案した。
明日の午後。
これまでの経緯を話せば、あいつらは気を遣って帰ると言うだろうけど。
最後の晩は、万事屋で過ごそうと決めてた。
俺と新八と神楽と、定春。
同じ飯を食って。
仲良く銭湯に行って。
和室に四枚布団を敷いて。
同じ時間を過ごして、見送ろうと。
ある種の、願掛けみてェなモノで。
朱里ちゃんが任務に赴く日は。
ほとんど、四人と一匹で過ごしたから。
そのときは、帰って来るのも早かったし。
だから。
今回も同じにしたい。
道間違えないで。
必ずココに帰ってくるように。
心配だからって、付いて行けねェし。
不測の事態でも、知り得ることもねェ。
況してや、迎えに行くことも難しい。
俺はココで待ってるしかねェから。
自分のことなら気にもしない、こんなこと。
実際、そうなったら。
連れて行けないことを、気に病んで。
危険だからと、置いていくのだろうか。
きっと朱里ちゃんは。
「頼って欲しい」
そう言うかもな。
でも、好いた女を危険に晒すなんて。
できることなら、遠慮したい。
近くにいても、護れないかもしんないし。
離れていても、護れない。
護って欲しいなんて。
思っちゃいねェだろうけど。
「一緒に戦う」
たぶん、そう言うな。
自分の安全は、蚊帳の外だから。
女のコなんだから、あんま無茶すんなって。
無茶ばっかの俺が、言えた義理じゃねェけど。