第20章 姿
汚れた躰に、汚れた着物を纏わせて。
そのまま風呂場へ連行。
「滑って怪我しないように」
額に軽く唇を寄せると。
「また、子ども扱い」
そう言って、頬を膨らませた。
脚も腰も、辛いだろうからって。
一緒に入るか聞いたけど。
真っ赤な顔で拒否したのは、朱里ちゃんだろ?
俺の心配を他所に、肌に貼り付いた汚れを落とすため、風呂場に入って行く。
肌から着物が滑り落ちて。
暗がりでも、至近距離でも見られない後ろ姿に。
軽い眩暈がした。
細いけれど、必要な肉の付いた肢体。
長い刀と重い銃ぶら下げて。
任務第一。
安全第二。
自分の身を衛るのは、最後。
そんな仕事、してるから。
明後日からの任務。
信じてない、わけじゃない。
こんな関係になったから。
その身を案ずる。
黒い服着て。
男所帯で。
奴らと共に、戦う姿。
今までだって、ココに戻ってきた。
土産買ってくる余裕がある程度に。
安心させて。
連絡ないのが、当たり前の。
そんな関係だったから。
ージリリリリ ジリリリリー
珍しく、電話が鳴る。
ージリリリリ ジリリリリー
依頼?
明後日の朝までは、引き受けらんねェな。
「はい、万事屋 銀ちゃんです」
「銀さん?」
「ああ、どーした?」
「どうしたもこうしたも、どうなったか心配で」
どーしたもこーしたも。
晴れて『恋仲』になりました、けど?