第19章 閨
縺れるように抱き合って。
貪るように口付けて。
互いの熱を欲して。
愛を語る常套句。
必要なら囁くけど。
この状況で『其れ』が欲しいなんて。
行為自体で充分なはず。
指先と唇。
或いは舌先。
天辺から、爪先まで。
形を確かめるように。
その躰、全部を。
なぞるように、撫でて探す。
イチバン、イイトコロ
互いの息遣いで。
聴覚まで犯して。
時折漏れる吐息で、さらに奥まで暴いて。
衣擦れの音すら、淫靡なモノに。
背中と腕に。
綺麗に塗られた爪が作った、引っ掻き傷。
爪立てて、堪えようなんて。
漏れる吐息も声も。
俺と朱里ちゃんにしか、聞こえないから。
これ以上は抑えられないように。
そんな余裕、無くなるくらい。
弱いところ、攻めてやるから。
もっと甘く。
揺れる腰で誘って。
欲しいって。
限界だって。
キモチイイのはお互い様。
俺以外のこと、考えられないくらい。
その中を満たしてやるから。
俺のじゃなきゃ。
感じない躰にしてやるから。
早く頂戴。
朝まで、時間の許す限り。