第19章 閨
掴んだ両手首を、もう一度首に回させて。
肢体を左腕で抱き上げる。
啄むような口付けを交わしながら、ソファの背凭れに掛けた着物を掴んで。
襖を開いた和室に放る。
「御免な、朱里ちゃん……」
布団の仕度、してやりてェけど。
そんな時間すら惜しい。
あっちの部屋。
灯り点けたまんまだ。
気休め程度に襖を閉めたけど。
僅かに射し込む光に。
脱ぐの、躊躇わないで。
本当は、全部、隅々まで見たいけど。
我慢、するから。
「……したい?」
畳の上の着物に、その肢体をゆっくり降ろして。
蕩けた顔を覗き込む。
俺の服の襟元を引き寄せて。
「……して、欲しい」
乱れた呼吸のまま、唇を寄せる。
生理的な涙で濡れた目が扇情的で。
目尻を舌で拭って、その味を確かめる。
「偉いな、朱里ちゃん」
秤は、本能側に傾いた?
もっと素直に言えるように。
銀さんの手練手管で、善くしてあげるから。
羞恥なんて、無くして。
そんなん無意味って。
思い知らせてあげるから。
「全部、俺にくれ……全部、やるから」
万事屋 銀ちゃんの『坂田 銀時』は。
皆の銀さんだけど。
『坂田 銀時』っていうただの男は、朱里ちゃんにやるよ。
「全部、欲しい………坂田銀時を、ください」
素直に言えたご褒美。
熨斗つけて、くれてやる。
途中で返品。
受け付けないから。