第2章 住
待つことには慣れた。
習性のように、耐性がついた。
思い返せば、待つことばっかだ。
いつもコンビニ行くみてェに出掛けてって。
ひょっこり帰ってくるのは。
一週間後の場合もあれば。
最長で三ヶ月のこともあった。
その間に俺自身が数々の修羅場を潜ってることを。
その場で知られないってことには都合がいい。
戻ってから泣かれるのは、酷く辛いが。
進行形で悲しませなくて済むことに、安堵することもある。
今回も、待つ。
良い知らせか。
悪い知らせか。
任務中に不測の事態があったなら。
遅かれ早かれ、俺の耳にも届くだろう。
直ぐに確認しないことが、弱さというなら。
俺は端から、そんなに強い人間じゃねェ。
いくつもの命を奪っておきながら。
たったひとつの命を手放せない。
『そう簡単に死ぬ魂じゃねぇ』
今までも、大きな怪我無く戻ってきた。
今回も、戻ってくる。
『俺の腕の中に、帰ってくる』
自分に言い聞かせる。
死が二人を別つときまで?
それが、今とは思えない。
生も。
死も。
常に隣り合わせと言いながら。
俺も。
朱里ちゃんも。
互いの戦場で生にしがみついてる。