第15章 名
テーブルに出来上がった料理を運んで。
向き合って座る。
見た目、やっぱり。
恋仲、だろう?
「「いただきます」」
と、声を揃えて。
俺が焼いた、目玉焼きとベーコン。
朱里ちゃんが盛り付けた、野菜。
出汁からとった味噌汁と。
炊きたてご飯。
贅沢な朝。
「綺麗」
突然、朱里ちゃんが言って。
俺は首を傾げる。
「坂田さんの、箸使い」
そんなん褒められたの、初めてだけど?
「お料理も、上手」
うん、それは俺も認めるわ。
材料あれば、何でも作るよ。
「…………も」
「ん?」
「何でもないです」
少し頬を染めた朱里ちゃんと目が合う。
「…俺の口、何かついてる?」
「……ついて、ないです」
「そんな見られると、恥ずかしいんですけど?」
「だって、」
「だって?」
「……………」
肝心なトコ、言わないのな。
流石の俺でも。
好いた女の熱視線。
交わせる程、器用じゃないよ?
バンバン受け止めちゃう派だから。
「朱里ちゃん、エッチ」
「!!」
「……ちゃんと、覚えてんじゃん」
何もなかったフリして。
無かったことに、されるのかと思ったわ。
「今からする?昨日の続き」
箸と茶碗を持ったまま。
朝餉に不釣り合いな会話。
返事しないと。
いいの?
勝手に『肯定』と受け止めちゃうけど。