第15章 名
「お風呂入ってないから」駄目って。
そんなん、大した問題じゃなくね?
入ればいいじゃん。
支度してやっから。
どーせなら、一緒に入る?
それでもいいよ、銀さんは。
背中流すよ?
他も洗ってやろうか?
隅々まで、綺麗にしてやるよ?
ここまで待ったし。
最終的には、『する』つもりだから。
今でも、昼でも、夜でも。
俺は、構わねェけど?
「したくなったら言って。風呂の仕度すっから」
顔を背けて、素っ気なく告げて。
食器を下げ始める。
押して駄目なら、引いてみるってあるじゃん。
アレだよ、アレ。
もうちっと強引に攻めなきゃ。
その気にならないって、知ってるから。
『欲しい』って言わせるための労力。
惜しむつもりはねェし。
負け惜しみを、言うつもりもねェし。
「味噌汁、美味かった」
ちゃんと作った味噌汁。
久しぶりに飲んだ。
俺の料理の腕を褒めてくれたけど。
朱里ちゃんも、料理できるのな。
コレ、いいことだよ?
「また、作ります」
照れて真っ赤になった表情。
初々しいわ。
つーか、また作るって。
それ、明日の朝だよな?