第14章 諦
観念したかのように。
服を掴んだ指先の力が抜けて。
『ポフッ』
と、間抜けな音がした。
そのまま動かない手に。
まさか、とは思ったが。
組敷いた朱里ちゃんからは。
寝息が聞こえる。
あんだけ盛り上がってきて。
乱れ始めた、ココで。
これからってトコで。
『………寝落ちは無いわァァァ』
別の意味で盛り上がってる。
俺の股間センサー、どーすればいいの?
「え、ちょ、朱里ちゃん?」
聞いてェェェ。
俺の話、聞いてェェェ!
コレ、マジで、ヤバイって。
不発って。
冗談が過ぎるだろ。
どうやって抑えればいいの?
「お願い。300円あげるから」
起きろォォォ!
寝てる女に手ェ出せねェェェ!
だって、すげェ良い感じだったじゃん。
銀さんのこと、欲しいって言ったじゃん。
自分からキスしてくれたじゃん。
ここで寝ちゃうって。
アレで満足しちゃったってこと?
無いわァァァ。
どう考えても、ソレは無いわ。
もっと先が欲しいの、俺は。
もう全体的に昂っちゃってんの、俺は。
だって、まだ服も脱いでねェし。
素肌だって。
お腹の辺りを、ちっと触っただけだよ?
そりゃ足りないよ。
好いた女を前に。
お預け食らって。
楽しみは後に取って置く?
違ェよ。
まだ始まってもいねェんだから。