第13章 危
的を外した戯れに。
痺れを切らすのが。
自分であってはならない状況で。
仕掛けたことを悔いる程度に。
危機的ではある。
見下ろす表情は。
紅潮した頬に。
固く目を閉じて。
口を一文字に結んで。
その熱を、拒んでいるのか。
将又、堪えているのか。
「……口に、」
さっきまで、あんだけ盛大に泣いて。
ガキみてェに、鼻垂らしてたくせに。
薄く目を開いて投げる視線は。
欲しがる女の面。
どこで、そんなん覚えたの?
言葉じゃなくて、表情ってとこが。
妙に、男心を擽るわ。
「口に、何して欲しいの?」
耳元で囁く声は。
掠れながらも、熱を孕む。
そのまま耳朶を軽く噛めば。
「ぁ……」
逃げるように、首を竦めた。
掴んだ手に自由を与えて。
寝間着の裾から肌をなぞる。
「…キス、して、欲しい…」
素直に言えたご褒美に。
唇を軽く重ねて。
「満足、した?」
試すように嗤えば。
「もっと、いっぱい」
自ら唇を寄せる。
正直、コレはしくじった。
焦らすつもりが、焦らされて。
こっちがその先を欲しくなる。
「ん………甘、い」
深くなる口づけと。
服を掴む指先の力加減が。
理性よりも本能を刺激して。
熱が上がる、その身体を。
欲望のまま、布団に押し倒した。