第6章 1864年ー文久四年・元治元年ー【中期】
薩摩藩のお偉いさん?藩士達からは一目置かれているようだったけれど。
うーん?違う気がする。
変な人だったな…。
殺気ではないけれど、変な空気。
あと…なんかひっかかる。なんだろう?
夢主(姉)は去って行った男の背を見えなくなるまで見ていた。
その後、その男のその姿を追いかけたのだが、見つけられなかった。
薩摩の上層部の様子を斎藤に報告しようと戻る途中、なんとなくあの変な空気に触れた気がして、辺りを見回す。
それから少し、あの「天霧」と名乗った男を捜したが、姿を見ることができなかった。
ここにいると思ったのに…
ふぅ、とひとつ息をこぼして、踵を返した夢主(姉)の背後に、あの妙な空気が現れた。
「お嬢さん。あまり余計な詮索をしない方が賢明かと。」
さすがの夢主(姉)も、背筋が凍った。
「貴女にはいずれまた。」
額から嫌な汗が一筋流れるのがわかる。
詮索をしていた事がばれた事…そしてあの空気が自分に向けられた事がとてつもなく怖かった。
固まったまま、背後を振り返る事が出来い夢主(姉)に、
「貴女には危害は加えません。」
そう言って、天霧という男は去っていく。
何で?いずれまたって何?
夢主(姉)は、背後にあった緊張が無くなってからも、しばらく動く事が出来なかった。