第2章 出会い
「王女のカノンだ」
「…お初にお目にかかります」
「ラビルと申します。ハビルは私の
兄でございます」
「聞きました。今年の新年の宴に
参加されていたと」
「はい。王女をお嫁に頂くのはあのときから
聞いておりましたので」
「はぁ?」
聞いてない。
あの時点でもうハビルは侍女と?
あの、脳筋ボンボンめ…。
「父上、聞いておりませぬ」
「言ってなかったからな」
「父上…」
「兄のほうがよかったですか?」
勿論だ。
少なくともお前の兄は私を王女とは
呼ばないし、(いつもカノン姫とかただ単に
姫、とかだった)今のように私の手をとって
今にも口づけそうな軽い態度は取らない…
と、言いたい。
が私は王女だ。
相手は大将軍の息子。
軽率な行動は取れない。
「物心ついたときから、旦那様になるのは
ハビル様だと聞かされて育ちましたので
少し動揺しただけです」
「そうですか」
「父上、そろそろ稽古ですので私はこれで…」
「ああ、そうか。
ラビル、送ってやってくれるか?」
いや、父。
やめてくれよ…!
空気読んで?