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好きなだけじゃダメなのか

第2章 出会い



私がそう言うと、父は喉を鳴らして笑った。

「ククッ…お前はそういう娘だったな」

美男子に靡く女ではない。
それは父もわかっているらしい。

「ハビルはどうやら侍女と恋仲のようでな。
大将軍のほうから縁談を取り下げてきた」
「侍女と?」
「屈辱的か?」
「いえ。しかし、ハビル様の弟なら私と
さほど歳は変わらぬのでは、と
思っただけでございます」
「それにしては、食いついてきた箇所が
変ではなかったか?」

父は威厳に満ちた王でありながら、こうして
商人のようでもあるのだ。
王らしくない王、だと思う。

「父上には嘘はつけませぬよ」
「母上…」

重い扉から謁見の間に入ってきたのは
私の母で第一王妃のリサ妃だった。

「ハビル殿がよかったのですか?」
「いいえ。しかし、そのラビル様のお顔を
拝見したことがありません故不安に
思っていたのです」
「なら都合がよかったわ。入って」

先程母が入ってきた扉が開いて。

「お初にお目にかかります、王女」

恭しく最敬礼をしたのは。

「ラビル」

父が嬉しそうに御簾の向こうから出てくる。
私が来たときとは違う対応。
将来の息子だからか。

「よく来た」
「陛下直々の御歓迎、感謝致します」

茶色い髪。
白い肌。
すらりと伸びた手足。
人形のような美しさ。

そりゃあ囲まれるわ。
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