第2章 出会い
「…ハビル。知っておるだろう」
「はい。大将軍アデル様のご嫡男の」
「ああ」
やっぱりな。
脳筋の嫁か。
まぁそれはそれでいいのかもしれない。
王女の務めと言われればそうだし。
「ハビルの嫁にされる、と思うか?」
「えっ?」
御簾越しの上、逆光で父の顔は見えないが、
笑っているのはわかる。
「ハビルではない。ハビルの弟だ」
「ハビル様の弟…」
「ラビルだ」
また似たような名前の。
「ラビル…様?」
「会ったことはあるはずだぞ?
今年の新年の宴で」
「新年の宴…」
年の始まりに王族や大将軍家、貴族、将軍家
などを招いて行う宴。
あれに、ラビルとやらが?
「大将軍やハビルと一緒にいなかったが…。
美男子ということでもてはやされていた。
覚えておらんか」
「全くもって覚えておりません」