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好きなだけじゃダメなのか

第4章 疑惑


やはりか。

「知ってたんだろう?」
「勿論」
「怒るか?」
「そんなわけない」
「だろうな。お前も大嫌いだものな」
「大嫌いではないけど…」
「なら、大好きか?」
「いいえ?大嫌いだわ」
「ほらな」

懐から煙管を取り出し、煙草を入れて
火をつける。
深く吸い込んだ煙を、ゆっくりと
吐き出す。

「アイーダ王も殺すつもりだった」

アイーダ王とは、私の祖母。
今上陛下の母で、大将軍の叔母だ。

「まぁ、結局アイーダ叔母さんは
勝手に死んでくれたからな。
儂の手を汚さずに済んだ」
「なぜ父上を殺さなかったの?」
「殺してほしかったか?」
「ええ。大将軍が王のほうが国民は
幸せになれると思うもの」
「果たしてそうかな」
「違う?」
「儂は戦が好きだからなぁ」
「なら王にはなれないわね」
「そうなんだよ。ハントネ国民は
戦嫌いだろ?儂についてくるかよ」
「大将軍はやっぱり賢いのね。
亡き王弟、チュルク叔父上よりずっと」
「チュルクは急ぎすぎた」
「本当に馬鹿な人だったわ」
「気が急いたのだろうな。
あんなときに王を殺せるわけがない」
「【王の剣】も【王の楯】も精鋭揃い。
その中に突っ込むチュルク叔父上は
本当に馬鹿だったわ」
「チュルクが死んだとき、王女は
何歳だった?」
「4歳」
「もうそんなに経つのか…」
「ハビル様より脳筋でつまらなかった」

大将軍は大笑いして、私の背を叩いた。

「ハビルは確かに脳筋だ」
「大将軍もよ」
「…ハビルよりは賢いだろ?」
「まぁ、チュルク叔父上よりは?」
「チュルクと比べるな」

だんだんチュルク叔父上が
可哀想になってきた。
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