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好きなだけじゃダメなのか

第4章 疑惑


「ハビルには何を頼んだ?
馬鹿王女」
「同盟の仲介」
「新サラントの第一王子か」
「鷹の目でも使ったの?」
「鼠を少しだけ?」

このように意地悪く笑う顔は、
驚くほど父と似ている。

「綺麗な金髪だったじゃないか。
それに、この国では碧眼なんて
そうそうお目にかかれるもんじゃない。
いい男だったな」
「ラビル様よりずっとね」
「お前は…」
「レオン王子も、ハントネとの戦は
避けたいと言っていたわ。
大将軍の仕事を奪いたくはないけれど、
民の命を守るのが王の役目でしょ?」
「お前は王じゃない」
「王位継承権第一位は私よ」
「知らないのか?第二位はお前のあの
愚かな弟だぞ。戦術も剣術も知らぬ、
星読しかできぬあの弟だぞ!
お前は王になる前に殺される」
「だったら!!…私は」
「ハンスを殺す気か?」
「弟殺しだって厭わないわよ!
国民のためなら、血だって被るわよ!
王こそが穢れなき魂なんて考え方は
もう古いんだとなぜ気付かない!」
「カノン!」

大将軍は持っていた短槍の石突で
私の鳩尾を突いた。

「それ以上言えばお前の耳、鼻、口
全部削ぎ落とすぞ」
「削ぎ落とせばいいじゃないか。
そのよく研がれたご自慢の剣で、
馬鹿王女の耳から口まで全部!」

大将軍が持ってきていた私の短槍を
取り上げて構える。

「お前、本気か?」
「本気だよ」
「この儂に、槍で勝負を挑むのか?」
「大将軍に、槍で勝負を挑むんだよ」
「【王の剣】にか?」
「【王の剣】によ」
「いいだろう。
王女よ、どこからでも来ればいい!」
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