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好きなだけじゃダメなのか

第4章 疑惑


「それを儂に直接言うあたり、
陛下の娘だな」
「はぁ?」
「ラビルは儂の息子だぞ」

にやり。
大将軍が目を細める。

「まぁ、陛下の娘なら変わり者でも
おかしくないわな。
ラビルよりハビルに惹かれるのも
わからないでもない。
陛下の娘だからな」
「馬鹿にしてらっしゃるの?」
「いいや?」

王の従兄だというのに、
大将軍には何の屈託もない。
従弟の臣下として生きることは
屈辱ではないのだろうか。

「カイルの臣下として生涯を生きるのは
儂にとって屈辱ではない」

笑みを消し、空を見つめる大将軍。
近頃白髪と皺の増えてきた容貌でも、
若かりし頃の美貌の面影を
失ってはいない。

「儂の人生唯一の屈辱は…
大将軍で出世が止まったことだな」
「まだ不満なのですか?」

大将軍が私の心を読めるのは、
今に始まったことじゃない。
昔から私が考えていたことを
一言一句違わず口にするのだ。

「大不満だな。せっかく王の従兄として
生まれたのに、誰でもなれるような
大将軍位で甘んじるなど…」
「宰相にでもなりたかったの?」
「宰相でもない。儂はな」

悪い笑顔で、従兄伯父は言った。

「王を殺して、王になりたかった」
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