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好きなだけじゃダメなのか

第4章 疑惑


「槍の稽古を放ることなんて、
今までなかったでしょう!」
「だってぇ」
「ハビルのところに行っていた…
なんぞ、理由になるか馬鹿王女!」
「馬鹿とは何ですか!」
「せっかくハンス王子より武術が
できるのに…」
「大将軍」
「この大馬鹿王女は…」
「大将軍!!!!」
「うるさい!
大きい声は稽古のときだけ!」

アデル大将軍。
ハビル様とラビル様の父親。
歳も歳のはずだが、まだ現役で
最前線で戦う【王の剣】。
長男は【王の楯】。
出世頭だよなぁ。

「ハビルとは何を話していた?」
「…恋バナ」
「色気づきやがって!槍の稽古は
どうした!」
「たまにはいいじゃない!
どうせ使う機会なんてないもの!」
「動かねぇと太るぞ!」
「うるさいぃぃぃ!」
「儂は陛下直々に王女の槍の稽古を
申しつけられておるのじゃ!
たまには老人を敬え!」

祖父を見たことがない私にとって、
大将軍が祖父のようなものだ。
大事には思っている。
それでも。

「大将軍に言えないことだって、
そりゃああるじゃない。
それは誰に言えばいいのよ。
父上?母上?ハンス?
誰も私の味方じゃないわよ。
ハビル様だけじゃない!
私のこと全部聞いてくれるのなんて!
ラビル様となんて結婚したくない!
どうしてハビル様じゃないのよ…」

ハビル様なら、私だって我慢したのに。
面白くなくたって、脳筋だったって、
優しくて聡いあの人なら、一生幸せに
生きていけたのに。

どうして。
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