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好きなだけじゃダメなのか

第3章 秘密


翌日、ハビル様が私の部屋を訪れた。

「姫、ちゃんと届けて参りましたよ」
「ありがとうございます」
「偶然ご本人とお会いできましてね」
「あら…それで、彼は?」
「わかりました、とお伝えください、
とだけ言って、厩舎に」
「そうですか」
「……姫、本当に大丈夫なのですか?
言ってはなんですが彼は、我が祖国の
敵国の王子ですよ?」
「わかっております。重々承知の上で、
私は恋をしたのです」
「しかも、報われるかもわからない!
もしも報われなかったとしたら…!
姫は罰を受けるだけ…」
「ハビル様」
「姫は何もわかっておられません。
早くやめて、弟と結婚して頂き…」
「ハビル様!」

昂る感情を抑えながら語りかける。

「私は王族の地位に縛られたくない。
これは…誰もが思うことでしょう?
あなたもそうだったのでしょう?
恋は、誰にも止められません」
「姫…」
「届けて頂きありがとうございます。
これから槍の稽古がありますので」
「姫、お願いします。ラビルと…」
「王家との繋がりが欲しいのなら、
妹さんをハンスに嫁がせれば良い話。
弟も、ラビル様が兄になることを
喜んでおりました。私に、弟の願いを
叶えることはできません」

しばらく呆然と私を見つめていた
ハビル様は、やがてきっちりと礼をして
部屋から去って行った。
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