第3章 秘密
「はぁ…ハビル様、ちゃんと
届けてくれたかしら」
「姉上、ラビル様に贈り物ですか?」
「え?え、ええ、そう」
「姉上、贈り物のセンスないのに」
「うるさい。そう言うお前だって、
馬術のセンスないわよね?」
「ば、馬術はこれから!」
「私の贈り物もこれからよ」
もうすぐ成人だというのに、
この弟にはまだ幼さが残る。
母たちが案じているのも頷ける。
でもハンスは決して愚かではない。
馬術や剣術は私には到底及ばないが
算術や占星術などには長けている。
王子よりも星読に生まれたほうが
幸せだったのではないかと思う。
「でも、姉上も結婚ですか…。
ラビル様が僕の兄になるなんて、
楽しみです」
「そう。伝えておくわね」
そんなの私は御免だけどな。