第1章 誠凜高校入学
「カントク!いつまでボーッとしてんだよ!」
日向先輩の呼びかけで、リコ先輩の動きが止まっていることに今更ながら気付く。
先輩の正面に立つのは火神君だ。
「Σごめんっ。で、えっと…記入数値を言うわね。上から5123、9812、6195、8821…」
(Σ…んな、何コレっ!?)
異常な程高い数字に驚く。
(全ての数値が今までの標準値よりズバ抜けてる。)
『先輩…コレ、マジですか?』
「私も驚いた。しかも延びしろが“見えない”のよ!私、生で初めて見たわ!」
“天賦の才能”ってやつを目の当たりにした先輩は、目をキラキラさせて“育て甲斐があるわ”と噛み締めるように呟いていた。
「──さて、これで全員だったかしら?」
『あと…1人、黒子君が残ってます。』
バインダーに挟まれた用紙を捲り、確認して答える。
「あ!そぅだった。帝光中の、…あれー?あんな強豪にいたんなら、視りゃすぐわかると思っただけど…今日は、休みかしら?」
『さっき出席を取った時には確かに居ましたよ?』
先輩と一緒に辺りを見回すものの、見あたらない。
「トイレにでも行ったのかしら?」
(おかしいなぁー?抜けるようなら、気付くはずだけど?)
『私、探してきます。』
そう言って体育館から出ようと駆け出した途端、不意に腕を引っ張られ足元がぐらついた。
──ヤバ、転ける!!
と、思った瞬間…私は転けずに“ポスッ”と何かに収まった。
(……?白い、布地?)