第9章 海常高校
<黒子視点。>
してやったり。
火神君の腰へと飛び付き、勝手に自爆した黄瀬君を見てニヤリと笑みが漏れる。
紺乃さんはと言うと…
自分の両腕にしっかり収まっており、ヌイグルミのように抱き抱えられていた。
紺乃さんは数回瞬いた後、キョロキョロと辺りを見回す。
『なーる。』
どうやら、ようやく状況を飲み込めたらしい。
彼女は、小さな手をポムッと叩いた。
『黒子君、助けてくれたんだ?ありがと。』
下から見上げてくる紺乃さん。
彼女の頭部が凭れるようにして、僕の胸へと当る。
その際、目に映り込んできた前髪とか、白い額とか、パッチリと開いた瞳だとかで…
その、彼女の全部が、僕に熱を灯していく。
途端に恥ずかしくなって、視線を遮るように自分の手のひらを押し付けた。
ペチリ。
『Σイタッ!?』
“Σ何事!?”と、額を抑える紺乃さん。
(全く…、)
「油断大敵ですよ。」