第9章 海常高校
目的地へ到着すると、大きな校舎と広い校庭が誠凜部員をもてなした。各グラウンドには、サッカー部やラグビー部、野球部等、場所をとる運動部が活動している。
(運動部の殆どが全国出場経験があるって知ってたけど…流石だ。これだけ設備が整ってたら強くもなる。)
辺りを見回していると、派手な金髪と目が合う。
まさかと、思った矢先、彼はコッチに向かって走って…Σぃゃ!突進してくる!?
「真澄っちぃぃ!!」
ΣΣヒィィ!?
両手を広げ、土埃を纏わせ走ってくる姿は地球割りを取得しているア●レちゃんの如く!!
地響きを慣らし(幻聴)キラキラと笑顔を輝かせながら近付いてくる黄瀬に私は身震いした。
『Σっちょ!!まっ、…』
余りの勢いにぎゅっと目を瞑る。
黄瀬はダイブするように飛びつくと、力強く抱き付いた。
──ガシィィ!!
「会いたかったっスよー!!真澄っちぃー!」
小さな子供がするように、顔を体に埋めつける黄瀬。
…捕まった。
確かに、そう思った。
けれど、次に発した言葉に一同目を疑う。
「ん、あれ?何か…ゴツゴツしてるよーな…」
黄瀬は顔を埋め込んだまま、背中に回した手をさわさわと撫で回す。
「…黒子、てめぇ…よくも俺を盾にしやがったなァ!?」
「ぇ、…?」
黄瀬はピタリと動きを止め、壊れたブリキのように“ぎぎぎぎぎ”と、首を回した。
頭上に見えるは赤い野獣の鋭い眼孔。
「てめぇも、いつまで抱きついてんだよ!!」
そう、黄瀬が抱き付いていたのは…
──火神君の腰!!
「ΣΣんぎゃぁあぁ!?(泣)」
黄瀬はひっくり返るようにして火神君から離れたのだった。