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プリズム◇黒子のバスケ夢小説

第7章 キセキの駄犬



キャンキャンと泣き喚く黄瀬に一括し、正座を強いると、圧をかけながら詰ってやった。

中学時代からの恒例パターンだが、忽ち肩をしゅんと落とし、大きな体を縮める姿を見て、安堵の溜め息を吐く。

毎度スキンシップが多い奴だと思っていたが…流石に今のは動揺した。


首に当たった細い髪とか、


鎖骨に当たった吐息とか、


耳に残った、掠れた声とか、


思い出すだけで、早鐘のように脈打つ体に、内なる自分が『高々、黄瀬だ。』と、呪文のように繰り返した。


(…これだからイケメンは厄介だ。)


「──えーと…、真澄は彼と“知り合い”ってことでいいのかしら?」

後方から遠慮がちに掛けられた声に“ハッ”と現実に戻る。

事の成り行きを見ていたカントクは、こめかみに指を立て、私と黄瀬を見比べていた。

私は姿勢を正すと、45度を意識して頭を下げる。

『すみません。部活の邪魔をしてしまって…此奴は、中学時代の元クラスメートです。それ以上でも、それ以外でありません!!変な誤解が生じる前に言っときますけど、私はリコ先輩一筋です!!』

手に拳を作り熱弁すれば「Σそっちの方が誤解生じるっつーの!!」と、日向先輩にツッコまれ、男一同がうんうん頷いた。

…Why?

首を傾げると皆に苦笑いされたが「そんな真澄が大好きよ!!」とリコ先輩がギュッと抱きしめて下さったので、よしとしよう。

『兎も角、邪魔な駄犬は排除してきます。』

ビシッと敬礼ポーズをキメ、ぐずぐずと床に這いつくばる黄瀬の首根っこを引っ張る。

「ΣΣちょっ、待っ、ぐぇっ…(泣)」

引き摺る形で外を目指せば、黄瀬は黒子君に懇願するように手を伸ばした。

「ま、…まだ黒子っちの返事、聞いて無いっス!!それ聞くまで帰れない、つーか帰らないっス!!」

ジタバタとだだをこねる黄瀬に呆れ、私はパッと手を離す。
途端に、踏ん張っていた黄瀬は、前のめりとなり“ズベッ”と顔面から倒れ込んだ。

イケメンが床と仲良くしている姿はシュールだったが…知ったことかとスルーを決め込み、ポカンと口を開けていた黒子君と目合わす。

『黒子君、断って。』
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