第1章 誠凜高校入学
入学式が終り、各自予め見ておいたクラス表を基に教室へと向かう。
中学からの顔見知りも何人かはすれ違ったが、さほど付き合いも無かった人ばかりだ。
途中、内ポケットに入れていた携帯が震えた気がして、取り出して確認すれば、他校へ入学した“ピンク”からのメールが届いていた。
[おはよー!もぅ入学式終わった?私は今からHRだよ☆今年は紺乃ちゃんもバスケ部のマネージャーするんだよね?お互い頑張ろうね!psテツ君のこと宜しくv]
『…やっぱり彼があの“テツ君”か。』
…なる程、だからあの瞬間“何か違う”と感じたのか。
人間離れした記録を残す“キセキの世代”なら、まぁ納得だ。
(そりゃ、普通じゃない。)
オマケに彼の自称彼女を言い張るピンクの繋がりだ。
私のことを知ってたのも頷ける。
『…助かったけど、知らん所で情報漏れすぎι』
(てか、自分の好きな人を他人に“宜しくv”って…)
意図が読めない友人に呆れ、私は返信せずに携帯を仕舞った。
人の流れに乗り、教室に辿り着けば、黒板にデカデカと貼られた座席表に目がいく。
自分の名前を見つけ、席に着けば先ほど目にした巨体が斜め前に鎮座していた。
火神君だ。
(一緒のクラスだったのか。てか、あんなのが前にいたら前が見えないじゃん。)
過去数回、経験した災難な日々を思い返し、私は隣の席へ座る人物に同情した。
“もし、授業中に困る事があったら助けてあげよう。”
そう思ったのだ。切実に。
けれど隣を確認した後、直ぐに考えを改める。
(やっぱ、今の無し。下手に手助けしてピンクにバレたら…)
『絶対、煩いに決まってる。』
(部活以外は必要以上に絡む事の無いように避ける!)
──触らぬ神に祟り無し。
お隣さんは、黒子君でした。