第6章 帰り道2
「…で、何だよ?そうじゃない…お前のバスケで“キセキの世代”を倒しでもすんのか?」
黒子君は伏せていた目を上げた。
「そう、思ってたんですけど…」
「マジかよ!?」
「それより、この学校で僕は…君と先輩の言葉にシビレた。今、僕がバスケをやる一番の理由は…君と、このチームを日本一にしたいからです。」
真っ直ぐ見つめる瞳は、決意に満ちていて…
いつかに見た曇りの無いものと同じだった。
(…悪くない。)
「相変わらず、よくそんな恥ずかしいセリフばっか言えんな!」
『いいんじゃない?どっちにしろ火神君は“キセキ”全員ぶっ倒すんでしょ?』
「たりめーだ。あと黒子!“したい”じゃねーよ。日本一にすんだよ!」
“訂正しとけ!”と言って火神君は席を離れた。
(同志が居て嬉しいくせに。素直じゃないなぁ。)
『んじゃ、火神君がお花を摘みに行ってる間に作戦会議と致しますか。』
「作戦、ですか?」
黒子君はコテンと首を傾げる。
『日本一になる為にも、まずはカントクに認めてもらわなきゃね。丁度、私ってば体育館倉庫の鍵を持ってるし。』
「!、それ…」
『別に、正座の恨みを果たす為に先生のポケットからくすねたわけじゃないからね。』
「真相、だだ漏れです。今頃、慌ててるんじゃないですか?ι」
『…ざまぁ。』
「紺乃さんって意外に“ワル”なんですね。」
『そんな、リコ先輩の美脚を地に伏せさせた報いを晴らしただけだよ。』
──次の日。
校庭には白線で“日本一にします。”と、丁寧な文字が描かれ、謎のミステリーサークルとして誠凜高校七不思議の一つとなった。
また、紛失していた倉庫の鍵は机の引き出しから発見され、大事になる前に教師の早とちりとして解決されたのだった。