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プリズム◇黒子のバスケ夢小説

第6章 帰り道2


言い合いをすることに疲れた火神君は、盛大に溜め息を付くと、山盛りバーガーのトレイを片手に席を探しだした。

肩を落とし、丸くなった大きな背中に気にせず付いて行くと、前回座っていた席に黒子君が座っているのを見つけた。

あ、と思ったが、火神君は気にせずにその席へと向かって行く。

(あれ?一緒に来てた?)

教室でこそ前後席だが、二人は普段から会話は少なく必要最低限しか関わらない。
そんな淡白な関係なのを目にしていた私は、現在進行系で吸い寄せられるように黒子君の向かい側席へと座る彼を不思議に見ていた。

私の存在に気が付いた黒子君は、何も言わずとも席を詰め、“どうぞ”と言うように、椅子を後ろへと引いて座りやすくしてくれる。

(…紳士だ。)

さり気ない気遣いに感動しつつ、感謝を述べてから腰を下ろすと、正面に座った火神君が肩肘ついて、怠そうに話を始めた。



「しっかしよー、大声出したぐらいであんな怒るかよ?」

話題は今朝の事だった。

『火神君の場合、後先考ずにフェンスに登るからでしょ?アレは危ないからキツく言われて当たり前。私的には、固く冷たいコンクリートの上で10分も正座させられた事の方が有り得なかったし。素足で我慢してた女子の気持ちなんて男子には解んないでしょねー?』

(思い出すだけで機嫌が悪くなる。)

気休めだが、残り少なくなったポテトを口に掘り込んだ。

「未遂だったのに僕も怒られました…」

──Σぶふっ!?

『Σちょ、火神君!?』

聞き手だった黒子君が喋った途端の事だった。

「Σまた!?」

驚いているところを見るかぎり、どうやら火神君は黒子君が居る事に気付いて居なかったようだ。

(…呆れて物も言えない。)

取りあえず、オマケ程度にトレイに乗っているペーパーを数枚掴むと汚れた机を拭く。

『ぁ…それより、あれから屋上が厳戒態勢しかれたって知ってる?リコ先輩の事だから何かしら対策を考えてるだろーけど…今回よりスケールが大きい宣言だったら…流石に辛いものがあるよね。』

適当に拭き終えると、折り畳み、空になったポテトの袋へとゴミを詰める。

「…入部できなかったらどうしましょう。」

黒子君は解りやすいくらい顔を青くさせていた。

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