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プリズム◇黒子のバスケ夢小説

第5章 屋上


<日向視点>

今朝の騒動から時間は流れ、
今は部活中。

反応や俊敏性を高めるラダートレーニングをクリアーした俺達は、束の間の休憩に一息ついた。

カントクは、不慣れなステップに遅れをとる1年生達にアドバイスを伝え、手持ちの個人データに書き込みしていく。

紺乃は、タオルやドリンクを配り、次の練習の為にラダーを素早く纏めると、雑巾片手にモップ掛けを始めた。

普段“面倒事はお断り!”と、口にしている割に、紺乃は休む事無く小走りに体育館を駆け回る。

余所の部活なんかで見るお飾りマネージャーなんかより、懸命な仕事ぶりに関心していると、ソレを同じく目にしていたカントクの口元が緩んだ。

「本当、あの子には驚かされてばかりね。」

近くにいた俺と伊月君は「“日本一”宣言の事か?」と反応する。

「全部よ。全部。」

“出会ってから今まで”

そう、笑って答えるカントクに納得した俺達は「確かに。」と、力なく笑う。

「朝の宣言の時にね、“達成できなかった時の罰則を了承するかわりに、バスケ部の誰かが責任として、嫁にしろ”って。」

「はあ!?」
「Σ嫁!?」

また何つー突飛な…ι

呆れる俺に対し、伊月は心なしか焦っていた。

「で、了承したの。“嫁入り前”なんだし。責任は取らなきゃってね。でもねー、私気付いちゃった事があってー。」

カントクは持っていたペンを口元にチョンと当てると、盗み見るように視線をずらす。

不自然なその動作に、疑問を持ちつつ視線の先を辿ると…

「黒子と火神?」

黒子はドリンク片手に…
火神は頭からタオルを被った隙間から…一定の位置だけを目で追っていた。

自然と2人が見つめる先へ目を向ければ、紺乃の姿。

しかも、コガが紺乃に抱き付き、無邪気に仕事の邪魔をしている。

「ΣΣ解りやすッ!!」

「でしょ?でもってー、此処にも。」

カントクはポンッと肩に手を置く。

「私の目は誤魔化せないわよ?

──伊月君。

貴方…“あの日”からでしょ?」
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