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プリズム◇黒子のバスケ夢小説

第5章 屋上


<黒子視点>


『──“お嫁”にして下さいね?』


そう言われた瞬間、頭の中が真っ白になった。

青い空を背に、いつになく凜としていて…、これまでに出会った誰よりも綺麗だった。

多分、そう感じたのは僕だけでは無くて…口惜しくも、ここにいる全員が心を奪われた瞬間だった。

紺乃さんは、呆けている皆を気にも止めず、拡声器のスイッチを切ると、迷い無く僕の所まで来て『はい』とソレを突き出す。

『次は黒子君。』

その言葉に深い意味は無く、きっと聞けば“一番近い距離に居たから”と答える筈です。

けれど…

他の誰かではなく、次に僕を選んでくれたことに意味を持ちたくて…

“つい”言っておきたくなった。



「どっちにしても、僕が責任を取ります。」



ポツリと小さく呟けば、案の定紺乃さんの耳には届かなかった。

“何?”と小首を傾げ、見上げる紺乃さんに「借ります。」と言ってごまかし、拡声器を受け取る。

「次は…?早くしないと先生来ちゃうよ?」

カントクはチラチラとグランドを意識しながら、他の仮部員達に声を掛けていた。

「すいません。声張るの苦手なんで、僕もコレ使っても良いですか?」

何事も無かったかのようにカントクに話かけ、許可を貰うと拡声器のスイッチを入れる。

火神君や紺乃さんに先を越されてしまったけれど、僕なりの覚悟を決めなくては。

意を決し、すぅと息を吸い込んだ瞬間──、

「コラー!!またかバスケ部!!」

地響きにも似た先生の怒声が屋上に響き渡り、バスケ部の宣言はここで中止となった。
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