第4章 幼なじみの苦悩
俺の住んでる所は、何処にでもある少し年期の入った小さなマンション。
狭い階段を五階(最上階)まで登ると、向かい合わせに並ぶ2つの扉が見えてくる。
右側が俺ん家で、
左側は真澄ん家。
真澄の両親は重役で、昔から主張や単身赴任で家を空ける事が多く…
その度に、一人になっちゃう真澄を不憫に思った俺ん家の母親は、親が居ない間の面倒を見ることを買って出た。
元々親同士がダチだった為、何の問題もなく真澄は預けられ、半同居という形で住んでいる。
そんな、こんなで、小さい頃から兄妹のように一緒に育っだたワケだが…
元々、俺は真澄の事が好きだったし…
プラス、思春期と言う厄介なお年頃に成ってるワケで…
さっきみたいな、安心感からくる無防備な姿は目に毒でしかない。
何度目かの溜め息を付いて、自分の部屋を後にする。ペタペタと寝間着のまま、キッチンへ行けば、母親が朝食の準備を終えて優雅に珈琲を飲んでいた。
(そー言えば、いつもなら起こしに部屋まで来るのに、今日に限って来なかったな…、一体、何で…)
差ほど意識せずに牛乳をグラスに入れ、そのままグッと煽る。
「あ、和成。真澄ちゃんと、おはようの“チュー”できた?」
「Σブッ、ごほっ、けほっ!」
「あら、その反応は…駄目だったの?ハァ、全く幾つになってもチャラいのは口調だけねー。せっかくチャンス作ってあげたのに。」
(Σ何ィー!?)
前言撤回。
どうやら、俺の母親は兄妹として育てて無かったらしい。
って事は、何だ。
未だに同じ部屋に寝かせてんのは…計画犯!?
「そろそろ覚悟決めて押してかないとー、“どっかの馬の骨”に奪われちゃうわよ?」
「…言われなくても、わかってるよ。」