第4章 幼なじみの苦悩
<高尾視点>
“カズ君”こと、俺、高尾和成は只今、全力で真澄から距離を取った。
と言うのも、朝、目が覚めたら隣に真澄の顔がすぐソコにあったからだ。
え?どれくらい近かったか?
そりゃ、間違えたら唇が当たっちゃうくらい近くに…って、言わせるなつーの!!///
はぁ…と、呼吸を整え辺りを見回す。
目の前には消し忘れたテレビが天気予報を中継していて…
俺の側には充電器を差したまま着きっぱなしに放置されているPSP。
仕舞い終えていない、季節はずれのコタツ布団に真澄と俺が入っていて…
(あー、昨日は新作のゲームを買ったから…調子に乗って夜更かししてたんだっけ?)
兎も角、気になった着けっぱになっているテレビやゲームの電源を落とす。
(多分、それに付き合って起きていた真澄も、そのまま此処で寝ちまった状況だな。)
幾らか落ち着いた頭をポリポリと掻き。
時計を見れば、起床時間で…
あと五分もすれば携帯の目覚ましアラームが鳴る。
俺は隣で猫みたく丸くなって寝ている真澄の肩を揺する。
「真澄ちゃーん、朝ですよー。」
『…ぅ、んん。』
「…真澄ちゃん?起きてー?」
『ん…やぁ、ッ。』
余りに甘すぎる声が出て、ピシッと手が固まる。
「ちょ、マジで起きろつーの!」
気合いを入れて、さっきより強く肩を揺する。
『ふぁ、…やらぁ…かずっ…も、っ…と…』
「…っ///」
起こしているだけなのに、何故か如何しい事をしているような錯覚に陥る。
多分本人は、『嫌だ。カズ君、もうちょっと寝かせて。』とか言ってる筈。
解ってる。
解ってはいる。
けど…
「真澄ちゃん、そーゆーの、マジ勘弁してくんない…?」
むにゃむにゃと、未だ夢の中をお散歩中なお姫様に言っても伝わる筈も無く…
俺は軽く溜め息を付くと自分の携帯を手に取り、5分後に鳴るだろうアラームの音を最大音にして、真澄の頭先に設置した。