第3章 帰り道1
黒子君の言う光が火神君なら、
私の光はリコ先輩だ。
例えるなら…
“太陽”の光。
皆の中心で強く輝き、差別せずに周囲を明るく照らす光は…
誰もが憧れ、惹かれてしまう存在。
自ら発光することが苦手な私には、太陽のように全てに等しく光を当てる事なんて出来ない。
だからと言って、迷い戸惑った時に導くような月の存在にも到底、役不足。
なら…せめて、脇役のさらに下でいい。
舞台の袖で見守る“端役”のように、空気(雰囲気)をより良く整える役でありたい。
皆が、翳りなく真っ直ぐ目標に向かって輝やけるように…
『──なんて、ね。ちょっとキザだったかな。』
空を見上げていた視線を下げると、ベッと舌を出した。
黒子君と火神君は、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしていて…
やはり“らしくなかったか”と、居た堪れなくなって目を反らした。
すると、反らした先に見知った人影を見つけ“まさか”と目を凝らす。
『あー…2人共、ここまででいいや。迎えが来た。』
「迎え?」
何処に?と、辺りを見回す火神君。
『歩道橋を挟んだ向こう側の道路。さっき、車が通った時に照らされて見えたの。』
「電話の方ですか?」
『そ。一方的に切ったから…心配して来たのかも。男友達連れて歩いて行ったら、家に帰ってから煩く聞かれそうだし、向こうが気づく前に行くわね。』
肩に掛けた鞄を持ち直すと、足早に彼らの横を通り抜ける。
「「紺乃(さん)!」」
『?』
呼び止められ振り返る。
「「また明日(な)。」」
『…!、ぉう。…“また、明日”。』