第3章 帰り道1
鳴りだした携帯をポケットから取り出すと画面には“和君”の文字。
予想通りの人物に私はため息をついて、もう一度椅子へと座る。
『もしもs…「真澄ちゃん!?こんな時間まで、いったい何処ほっつき歩いてんのー!?」』
携帯から漏れ出る声の音量がキーンと耳を突き、慌てて耳から離した。
見れば、黒子君や火神君が何事かと、固まっている。
『あー…今、マジバで友達と、「ΣΣマジバぁ!?今日、俺の部活が早く終わるから“一緒に飯食う約束”をしてたのに!?しかも、友達って誰!?まさか男じゃn…」』
スピーカーフォンでも無いのに漏れ出す声は、制限を外したかようにどんどんボリュームアップしていく。
それに耐えかねた私は『カズ君“煩い”!!』と、此処が往来の場だと言う事も忘れて怒鳴ってしまった。
店内は無論…ポカーンと、静まる。
“しまった!!”と、思った頃には手遅れで、四方八方から痛々しい視線が集まってくる。
『…ッ///、ぃ、今から急いで帰えるから!』
早急に店から出たくて、受話器の向こう側の相手の心配を無碍に、ろくな返事もせず通話ボタンを切った。
『ハァι…と、言う事だから帰るね。』
「家まで送ります。」
『Σぃ、いいよ!!ここから家まで近いし。』
「いくら近くても、日が暮れてからの女性の一人歩きは危険です。電話の方も心配してましたし…誘った僕には責任があります。」
“ここは譲れませんよ?”と強く出た黒子君。
ここで反論すれば、きっと“また”先輩達をネタに私をつつくだろう。
ムゥ…と口を結び、不満気にしていると、
「俺も食べ終わったし…途中まで方向は同じだろ?素直に送られとけ。」
と、火神君が頭を叩いた。