第3章 帰り道1
(まさか黒子君が黒属性だったとは…)
「どうかしましたか?」と、しれっとした態度の黒子君に対し、私は剥くれていた。
正面に座る彼をジト目で眺めながら、買って貰ったシェイクをストローでかき混ぜる。
『んー…入学早々弱みを握られるとは不覚だったなぁ~って。』
「先輩達の事ですか?」
『そ。まぁ、見てれば夫婦漫才やってるし、自ずとバレるんだろうけどね。…けど、誘いを断ろうとする相手に“脅してまで奢る”なんて、黒子君って変わってる。』
「“変わってる”と思われるのは心外ですが…紺乃さんの場合、あんな風に言わなければお礼をさせて貰え無いと思ったので。」
…確かに。
よくご存じで。
『…それって“ピンクマネージャー”とか“キセキの駄犬”情報でしょ?』
「凄い言われようですねιけど、合ってます。休憩中や下校中の際によく紺乃さんの話題になってたんです。因みに“甘いものが好き”と言う情報は…」
『解ってる。食べ物の話なんて“あの子”しか居ないし。…全く、皆、人の居ない所でベラベラとι』
“呆れて物も言えない”とはこう言う事だな…と、先程まで混ぜていたシェイクを口に含む。
「それは、僕も同じです。紺乃さんは僕の事を“聞いていた”から、火神君に啖呵を切った。」
“違いますか?”と首を傾げる黒子君に何やら毒気を抜かれる。
『まぁ…ね。』
「ところで、あれから火神君とは仲直りできたんですか?」
『いや、話すらしてないよ?』
「仲直りする予定は?」
『機会があればするけど?』
「では、丁度良かったですね。」
黒子君は店内の入口付近にある注文カウンターの方へと指を指した。
それを何気なく辿ると…
そこには、火神君の姿。
「『あ。』」
漏れた声がダブると、火神君は嫌そうな顔をした。