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プリズム◇黒子のバスケ夢小説

第2章 幻の6人目


辞典で「春雨」と引けば“春先にしとしとと静かに降る雨”と載っている。
とても風流で味わいのあるフレーズだが…
現実はそんな生易しくはない。


…だって今日は土砂降りだもの。


色味の無いビニール傘を差し、少しでも足元や鞄が濡れないよう歩く。
いつもより早い朝に、覚めていない頭はボーとしていて、気を抜けば瞼が落ちてきそうだ。

交差点を渡り終えると、ばったりと火神君と出くわした。
面倒臭くて、そのまま無視して行こうとすると、軽く挨拶された後、当たり前のように横を歩きだした。

『何んで一緒に歩いてんの?』

「そりゃー、お前が“自分で確かめろ”った結果を話す為だ。学校に着くまでの“ついで”だけどな。」

『…別に興味無いのに。』

無愛想に返すも、火神君には全く通用せず。
反論するのも面倒なので仕方なく耳に入れて歩く。

話は、私と別れた後の事だった。
マジバへ寄った彼は偶然にも黒子君と遭遇し、真相を確かめるべく1on1をしたんだとか。
結果“死ぬほど弱かった”と言う評価に「お前の言ってた“6人目”って、違う奴と間違ってんじゃねーのか?」と、難癖を付けられる。

「俺もある程度は相手の強さは解る。強ぇ奴ってのは独特の匂いすだよ。弱けりゃ弱いなりの匂いがするしな。」

(匂いって…ι)

『じゃぁ、黒子君は弱い匂いがしたんだ?』

「ぃゃ、アイツは何も匂わねーんだ。…強さが無臭とか、今まで会ったこと無ぇから、最初は意図的に“何か隠してる”のかと勘ぐっちまってよ。噂の事もあって少なからず期待もしてたし…まさか、弱すぎて匂いを感じ取れねーだけとか……本当、俺もどーかしてたぜ。」

『ふーん。』

「弱ぇ奴に興味ねーけど、流石に悲惨だったからよ。最後に一つ忠告してやったんだ。」

『忠告?』

「“バスケをやめた方が良い”って。」

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