第2章 幻の6人目
<火神視点>
「──紺乃。お前、確か“帝光中”出身じゃなかったか?」
部活が終わり、帰宅準備をしていると眼鏡の先輩がマネジャーに話かけているのが聞こえてきた。
「あの黒子って奴と知り合いじゃないのか?」
『あー、友人の友人っていう感じなんで、名前くらいなら聞いたことあますよ。今日、初めて顔と名前が一致しましたけど。』
「何だ、初対面かよ。」
『まぁ、でも彼が“キセキ”メンバーなのは本当ですよ。友人達から聞いてますから。』
そこで会話を区切って、ボール籠を倉庫へと片付けに行くマネジャーは“これ以上の質問は受け付けない”と言っているみたいだった。
(…どうやらアイツに聞けば詳しく聞けそうだな。)
“何か知ってそうだ”と感を頼りに、俺は後を追った。
数分で倉庫から出てきたマネジャーは扉を重そうに引っ張っていた。
「大丈夫か?」
声を掛け、閉めてやると随分びっくりした顔をされた。
『ぁ、ありがとう。この倉庫の扉、開けるのは簡単なのに閉める時はやたら重くって…その、』
『助かった』っと、少し口端を上げて笑うマネジャーに“何だ、意外と普通だな”と、先程あった自己紹介の印象と比べる。
「なぁ、ちょっと聞きたいんだけど…」
『んー?』
「“帝光中”とか“キセキ”のなんたらとか。」
『あー、そっか。帰国子女だから知らないのか。質問理由は解ったけど…何んで私なの?』
“誰でも知ってるのに”と、マネジャーは顔をしかめた。
人を寄せ付けたくないと言うあからさまな態度に“あー、やっぱ、そのまんまの印象だった”と思い直す。
「さっき先輩と話てんのが聞こえたから。…適任だろ?」
不適に笑えば、俺の思惑を察したマネージャーは『面倒臭っ。』と、嫌そうにぼやいた。
『…じゃぁ、ゴール閉まって、コンビニでダッツ奢ってくれるなら教えてあげる。』
「お前…ほぼ初対面相手に図々しい奴だなιまぁ、ソレで手を打つけど。」
『交渉成立ね。』