第7章 白き一瞬と黒き時
カシムとアリババのぶつかり合いは人類の悩みのぶつかり合いに変わっていっている。
カシム『アリババ、人間に違いはあるだろ?何も持ってねぇ最低辺の俺達は上の奴らが眩しくて仕方ねぇ。そしてそれを見上げるしかできないまま俺達は死んでいくんだ。自分の運命を呪いながら。』
その姿はまるで、自分と同じ立場の人間に問いかけるようだった。
カシム『俺はそんな運命を変えられると証明したかった。誰でも俺みてぇなクズでもなれるはずだ。自分とは全く違う何かになれるはずだ。そうだろ!!!』
すると、カシムの感情の塊がアリババに突き刺さった。だが、その瞬間カシムに涙が出てきた。
黒い感情の塊がアリババを通してアリババの感情がカシムに流れているのだ。
アリババ«悔しい、情けねぇカシムがこんな事を思ってたなんて、俺は気づかずにー
いや、本当は気づいていたのかもしれねぇ、ただカシムに<違う>って言われるのが怖かった。
けど、人の数だけ<違い>はあるのかも知れない、でもそれが«悲しい»』
考え込むアリババにカシムの心は黒から白へ移ろうとしていた。
カシム«こいつとは別々の他人なんだ。同じになるとこはできないんだ。»
『それを俺は、無理矢理お前と同じ場所へ昇ろうとしていた・・・・!』
そして、カシムも涙が出てきたいた。そして白い感情が多くなったことでジンが崩れ始めた。
アラジン『アリババ君、やったのかい?』
ジンが崩れることにカシムの体も崩れていってしまっていた。
カシム『ジンが・・・崩れる。』
アリババは心配になり、彼の名前を呼ぶ。しかしカシムはアリババに笑顔を見せていた。
カシム『大丈夫だ、どうやら俺はジンとくだばる他ねぇが・・・・お前は生きて戻れる。』
アリババ『何言ってんだ、俺はお前を助けに来たんだ!!!』
カシムは泣きそうな顔をうまく隠しながら話していた。
カシム『もっとお前とちゃんと・・・・なぁ、アリババよ・・・俺らさ・・・・』
その瞬間、アリババは昔のカシムを思い出した。それは、アリババがスラムにいたときだった。
食べ物が少なすぎてヤクザと盗みに加わったカシムの事を、思い出した。
*アリババ『カシム、俺も手伝おうか?』
カシム『お前がそんなことをする必要はない。俺とお前は違うから』
アリババ『なんだよ、それ?』