第3章 新たな日々
「……それでナルサス、まさかそれだけでここに来たのですか?」
そんな訳ないよね、ナルサスだもん。
他に用事があって来たはず。じゃなきゃ来ないと思うもん。
別にもうふさぎ込んでるわけじゃないからね。
「いえ、それだけですが」
「……………」
………これは、なんと言えばいいのか;;
まさかそれだけの用で来るとは思わなかった;;
「何か問題でもおありで?」
「いえ。ですが、珍しいと思って;;忙しくはないのですか?」
「確かに忙しい身ではありますが、たまには息抜きも必要ですから」
それもそうだ。ナルサスは貴族の身であるから忙しいのは当然。息抜きも必要だ。
「では、久しぶりにお喋りでもしましょうか」
「えぇ、喜んで(ニコッ」
ナルサスの笑顔は相変わらず綺麗だな。
私はそこら辺の女子に比べれば美人だと思うが、ナルサスにはまだまだ。全然釣り合わないだろう。
まぁ、好きな人ってわけではないからどうでもいいか。←
「ライナ姫は最近兵士の稽古にも付き合っているという話ですが、それは真で?」
あら。その話は本当にここ最近なのだが、ナルサスまでも耳にしていたとは。
「えぇ、事実ですよ。ですが、剣ではなく弓ですけどね。私は剣より弓のほうが得意ですので」
女に剣というのはかなり難しいのだ。何せ、男と女の力の差は歴然だからね。
だから私は、弓を一番に鍛えた。剣もそこそこ使えるがな。
「ライナ姫の稽古を受けた者が言っていました。“姫の稽古のおかげで上達した”と」
「それは嬉しい話です。ですが、何故ナルサスがご存じなのですか?皆に稽古をつけ始めたのは、1週間前の話ですよ」
うん、嬉しいのは本当。そんな話はちらほら聞いていたけど、ナルサスに言われると現実味が違うからね。
………でもさ、ナルサスって今日久々に王宮に来たはずだよ?何故知っている。
「失礼ながらライナ姫は私の弟子の身でございます。弟子の事を知っておくのは師として当然でございます」
「そうですか;」
なんかはぐらかされた気がするんだけど。
………まぁ気にしても仕方ない。ナルサスだからで片付けよう。←
「っと、だいぶ長居してしまいました。それでは、そろそろ私はこれで」
あ、ホントだ。もう夕方。
「またお話ししましょうね」