第4章 アルヒの真実
『あぁ、ちょっとムカついたの思い出したら胸くそ悪くなってきちゃった。ってことで、続きは明日書くね。まだまだ長くなりそうだからね』
「……先輩、良いところで終わらせましたね」
「あはは;今日はここまでにしようか、ライナ姉さん」
「そうしましょう」
でも、まだまだ長くなりそうってことは、それなりに深い話なのかな?転生トリップって。
普通の人だったら、トリップどころか転生もできないしね。
この日記から、私がこの世界に転生トリップしてきた意味を知ることができると良いけど……。
「……姉さん、お腹すかない?お菓子持ってくるよ」
「……そうね。お願いしようかしら」
「任せて!」
ガチャ
そう言ってサクラは、部屋から飛び出していった。
……サクラには感謝しなくちゃね。私が変なことを考えてるって見抜かれた上に、気を使わせちゃったからね。
でも、ちゃんと知りたいんだよね。私が何故選ばれたのか、どうしてアルスラーンが生まれるであろう時期にここに来たのか。
きっと、意味があるはず。じゃなきゃ、神様ぶん殴る。←
ガチャ
「お菓子持ってきたよ、姉さん」
「ありがとうね、サクラ」
私の思考をシャットダウンするように、タイミングよくサクラが帰ってきた。
「………ねぇ姉さん、本当にアルスラーンって子が来るのかな?」
「さぁ?どうでしょう。今の私にはわかりません」
日記でここに来た意味が分かったとしても、完璧な未来までは誰にもわからない。
わかるとしたら、この世界を創造した神様ぐらいじゃないかしら?
先輩をアルヒ王女として連れてきた神様がこの世界を創造したかは、別の話だけどね。
だって、神様が一人とは限らないでしょ?前世には、たくさんの神話ががあったもの。
「来たとしても、その子に王位は務まるのかな?ヒルメス殿下以上にできると思う?」
「………そうですね。私としては、どうでもいい話です」
「えっ………?」
この世に同じ人間なんかいない。
だから、人と人とで比べる必要がないと私は思ってる。
十人十色。たくさんの個性があってこその世の中よ。
「……サクラ、私の願いは、今のパルスをよりよく導いてくれること。ヒルメスお兄様以上にではなく、私は、きちんと民と向き合ってくれる人なら、それでいいです」