第3章 新たな日々
私は部屋に戻り、早速日記を開いた
『パルス歴〇年〇月〇日
私がこの世で新たな“生”を頂いて、10年の時が経った』
ってことは、アルヒ王女はこの時10歳だったってことだ。
『父上が蛇王ザッハークを討ち、パルスの新たな王となってからの日々はとても大変だった。けれど、兄上から命を狙われ、家庭は崩れていった』
………何て言えば良いのだろう。
歴史で知っていたとはいえ、齢10の少女あまりにも酷ではないか。
……まぁ、精神年齢27で現世6歳の変な少女?には言われたくないか。←
『……とまぁ、自分でも過酷だと思うが、しょうじきどうでも良い。私には、前世に残してきた後輩の方が心配だ』
…………、んん?“前世”、だと?
えっ、何、この人10歳の時の精神年齢それ以上だったってことですか?私みたいに。
でもそういうことなら、“日本語”で書かれていることにも理解できる。
要するに、この“アルヒ王女”は私みたいに“日本”に住んでいて“転生トリップ”してしまったってことだ。始めの方にも、何やらおかしな書き方があったしね。
『私は、この世界程ではないが過酷な社会で生きてきた。直球でいうと、裏社会の人間だったのだ』
………私と、同じ……?
……この人、私の前世の知り合いってことは、無いよね……?
今となっては、確かめようがないけど……。
『いつも通り政府に言われた任務をこなそうと会社に出向くと、何人かの社員が殺られていた』
………益々、怪しくなってきた。
あの日の私と、ほぼ一緒ではないか……。
私がこの世界に来る1週間前の出来事と……。
『自分の目を疑ったよ。だって、大事な大事な部下が殺られてたんだ。政府に頼まれて裏で仕事をしていたから覚悟はしていたけど、辛かった』
………私もそうだった。
いつも通り会社に通勤したら、私以外の社員が全員殺られていたのだから……。
辛い以上に、悲しかった……。死ぬ時は皆一緒だと、言っていたから……。
『けれど、幸運なことか一人、その場にいなかった部下が、“相棒”がいたのだ。その子の名前は、』
『「ライナ」』
………先輩、だったんですね、アルヒ王女は……。
一体どこまで、私を泣かせるのですか……!!