第3章 新たな日々
それから、色々話をした。
最近では、ナルサスには戦術のことを、ダリューンからは戦での出来事を聞いている。
ナルサスの話は、王宮での勉強よりとても面白い。興味を引く話し方を心得ているようだ。
ダリューンの話は、実際に行った戦の話だから、とても聞き応えがある。騎士見習いとして、戦に出ているようだ。私の予想では、そう遠くない未来、万騎長になると思っている。
そして今日は、バフマンが来てくれる。大事な話があるとのこと。
コンコン
「バフマンでございます、姫殿下」
おう、噂をすればなんとやら、ですか。
「入ってください」
「失礼します」
ガチャ
「姫殿下、早速ですが」
「ええ、話してください」
「話とは、ヒルメス殿下のことです」
「ヒルメス、お兄様……?」
「はい……」
……何だろう、この空気……。緊張が目茶苦茶走ってるよ。
……嫌な予感しかしない……。
「ヒルメス殿下のお父上様は、先王オスロエス様ではないのです」
「…………えっ……?」
ヒルメスお兄様の父上は、伯父様ではない……?
普通だったら冗談だよねとか思うけど、バフマンがこんな嘘を言うとは思えない。
きっとこれは……、真実なんだ。
「………では誰が、ヒルメスお兄様の父上なのですか?」
「パルス第16代国王、ゴタルゼス2世様です…」
「お祖父様が……、ヒルメスお兄様の、父上……?」
てことは……、ヒルメスお兄様は私にとって従兄殿ではなく、叔父様だというの……?
「……ヒルメスお兄様は、この事を知っておられたのですか…?」
「……いえ」
「そう、ですか……」
……この事は、知らない方が良い。世の中には、知らない方が幸せなこともある。
……といっても、ヒルメスお兄様はもう……。
「……バフマン、話してくれてありがとうございます。わかってるとは思いますが、この事は誰にも他言無用で……」
「それがよろしいかと」
………私、今ヒルメスお兄様がいなくて良かったと思った。だって、残酷すぎるもの……。
本当のことをいうと、ヒルメスお兄様の母上についても、何故お祖父様の子供なのかということも知りたい。
……でも、これ以上何か嫌なことを聞いたら、自分が保てなくなってしまいそう。
「最後に一つ、お願いがございます」
「何ですか?」