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姫様は守護者の末裔なり

第2章 出会いと別れは必然


……まだ、暗闇の中……。


『何故です、叔父上………!!!』


ヒルメス、お兄様………。

これは、一体………、どういうこと、なのでしょう……。

お父様が、火を放ったというの………?



『おい、オスロエス先王が亡くなったのは陛下が暗殺し、ヒルメス殿下の方は放火だって話だな(コソッ』

『馬鹿!それは言っちゃいけない話だろ!!?(コソッ』

『でも只の噂だろ(コソッ』

『けどよ、これを陛下に聞かれたら、俺たちの首が飛ぶぞ!!(コソッ』

『それはゴメンだ(コソッ』


………これはまた………、信じがたい話だ………。

お父様が、伯父様を暗殺?ヒルメスお兄様の部屋に放火?

馬鹿馬鹿しい、そんなの、嘘に決まってる………。

第一、伯父様が病で亡くなったはずよ?

それは、私も夢で見てるし………。


………でも、夢は所詮夢に過ぎない。

じゃあバフマンが出てきた夢も、私の妄想が産み出した夢………?

今見ている夢も………?

いや、でも、バフマンが出てきた夢を見た次の日、実際伯父様は亡くなられた……。

そしたら、この兵士が話している話……、真実……?

伯父様の件はお父様が王座欲しさにやったと考えると、色々納得できてしまう。

現国王はお父様だけれど、伯父様が生きているからと、伯父様を支持している者もいる。

じゃあ、ヒルメスお兄様は……?

伯父様が亡くなり、お父様が王座に就いていなかったと考えて、次の国王の座に一番近いのは、ヒルメスお兄様。

王座欲しさの故と考えてしまうと、納得できてしまう……。

ヒルメスお兄様は、王太子殿下であらせられるから……。



………駄目だ、こんなの……。

所詮、夢は夢だ。これもきっと、何かの間違え。

私は昔から変な方向に考える時があったから、その延長に過ぎない……。

そう考えよう……。でないと、心が折れてしまいそう……。


ここにいると、嫌なことを考えてしまう。

起きたくない。起きたくないけど、此処にいるより遥かに増しだ。

お母様やお父様、ヴァフリーズもいるしね……。








「……っ!」

ガバッ

「姫殿下……!」

「ヴァフリーズ……?」

「陛下と王妃様に姫殿下が目覚められたと伝えろ!!」

「はっ」

バタン


………これは、一体……。

さっきまで私は、寝ていたのよね………?
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