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姫様は守護者の末裔なり

第2章 出会いと別れは必然


「うっ………」

「はぁ……、はぁ……」


く、苦しいよ………。助けて、ヒルメスお兄様………。








「ライナの熱は下がらないか」

「はい。尽くせる手は、全て尽くしましたが……」

「ライナの精神状態が問題なのか」

「はい……」

「愛しいライナ……、早く元気になっておくれ」

「………王妃様、陛下、そろそろ」

「あぁ。行くぞタハミーネ」

「……また来ますね」

チュッ


バタン







「また、ここか……」


私が目覚めると、辺りは真っ暗、何も見えない状態。

ということは、また夢の中なのだろう。

最近の私は、よくここに来る………。

そして、よく映像という名の過去を見る……。

そろそろ、出てくるはずだ……。



『きれい……』


この光景は………。


『ライナ』


『お兄様!!』


あぁ、そっか。私とヒルメスお兄様が、最期に会った日だ……。


『見てください!』


『上手にできたな』


『はい!』


………羨ましい。ああやって、頭を撫でてもらうのが……。

きっと、そう思うのも、ヒルメスお兄様だからだろう。

まぁ、あれは過去の自分なんだけどね(苦笑


『相変わらず器用だな、ライナは』


『そういうヒルメスお兄様だって』


『そうか?俺はライナの方が上手だと思うぞ』


『お兄様はお世辞がお上手ですね』


『そういうライナは難しい言葉を知っているな』


『フフ』


私と彼が共にいたのは、たった半年。

とても、短い時間だった……。

でも、半年“も”共にいることができた。

本当なら、5歳の誕生会の次の日に離宮に帰るはずだったのだが、ヒルメスお兄様が伯父様に頼んだそうだ。

それで、伯父様とヒルメスお兄様はそのまま宮殿に残ったのだ。

そう考えると、半年間毎日会えただけでも、感謝せねばならない。


………でも、やっぱり寂しい…。

心の奥底を全てさらけ出した訳でもないが、それでもたった一人の、心を許せる人だった。

お父様は時々怖く、お母様は美人過ぎて近寄りがたしってね;;

………会いたいよ…、ヒルメスお兄様………。
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