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姫様は守護者の末裔なり

第2章 出会いと別れは必然


ガバッ

「はぁ、はぁ………」


…………夢……?

あぁ、そうか、そう、よね。

あれは、夢に決まってる……。


………それにしても、なんて質の悪い夢……。

どうして、あんな夢を見てしまったのだろう……。


………散歩にでも行こう。気分が優れない。

いつもだったら女官の人が起こしに来てくれるけど、今日はいつもより早く目が覚めたようだし、ちょうど良い。

風にでも当たれば、気分など良くなるだろう。



ガチャ

………?

なんか……、いつもと城の雰囲気が………。

それに、焦げ臭い………?


その時、私はあの“夢”を思い出した。


「まさか………。っ!」

ダッ


私は、いてもたってもいられなくなった。

あれは夢、そう思っていたから。

……でも、どこか頭の中で、それは現実だと囁く。

嘘だと信じたい……。只の、妄想だと……。


「あぁ………、あぁ………!」


ヒルメスお兄様がいるはずの宮殿は、焦げた跡があった。

すなわち、それが意味することは………。


「ヒルメス、お兄様っ………!!」


夢だと、思っていたかった………!

この世界で初めて、素を出せたというのに………!

どうして、こんなことに………!!



「姫殿下!!」

「ヴァフリーズ………?」


後ろの、私の部屋のある方からヴァフリーズがやって来た。


「此方におられましたか、姫殿下」

「………ねぇ、ヴァフリーズ……」

「はい、何でございましょう」


私は、この事実を受け止められなくて、確かめることにした。

本当は、もうわかってる……。

でも、それでも、嘘だと信じたいから……。


「ヒルメスお兄様は、亡くなったのですね……」

「…………」


その沈黙が、答えだった。


「………そう、ですか……」


………あぁ、お兄様………。

本物の兄のように慕っていた、ヒルメスお兄様……。

これから私は、何を便りに、生けていけば良いのでしょうか……。

私には、もう、どうすれば良いのか、わかりませぬ。

ましてや、今までどう生きてきたかのすら……。


「………?、姫殿下……?」

「………ヴァフリーズ……、私は、どうすれば……」

ドサッ

「姫殿下!?」


私の意識は、何も見えぬ暗闇へと、沈んでいった。
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